医療技術は日々進歩しています。それに伴って看護技術も常に新しくなっていくものです。また、社会情勢の変遷によって、看護現場を取り巻く状況も刻々と変わっていくものです。そんな状況ですから、看護現場で常に新しい知識と技能を持った看護師が求められるのは自然の成り行きなのかもしれません。特に都市部においてはこの傾向が地方のそれよりも顕著です。こうした中で、これまでの看護師としてのステップアップだけでは対応できない状況も増えてきています。単に看護師長になったり、ユニットリーダーになったりというものでもなくなってきているのです。
役職につく看護師の存在は重要です。こうした人は看護師として一定以上の経験と知識、技能を持った看護師であることが、少なくともその職場の中では周囲に承認されているということになるからです。こうした立場に進んだ看護師は、単に自分自身の看護技術についてだけでなく、自分の下についている看護師たちを指導・監督する立場にあります。また責任ある立場に進むべき看護師を客観的に評価する明確な指針はありませんでした。しかし、近年ではレベルの高い看護師をそのように評価するための制度がいくつかあります。そのひとつが認定看護師です。
認定看護師の職掌とはどういったものでしょうか。それは、各分野における看護のスペシャリストというだけでなく、看護現場において水準の高い看護の実践や指導、一般看護師からの業務における相談などを受ける指導的な役割を果たすことのできる看護師としての働きを期待されています。当然そうなるためには十分な看護師としての経験が必要です。それに加えて、指定の教育機関で一定以上の研修を受け、その上で認定審査をパスしなければならないのです。
指定の教育機関での研修は、原則として昼間行われます。ですので、認定看護師となるためには最低でも半年は今居る看護現場を離れる必要があるのです。
現在、21の看護分野において認定看護師制度が制定されていますが、今後も分野が追加されていくことが予想されます。自分がこれまで経験してきたことを生かして、より高い看護師としてのステップアップを目指す指針としては、これほど良いものは無いでしょう。認定看護師として認定されると、その効果は5年の間続きます。逆に言えば、5年ごとに更新しなければなりません。つまり、認定看護師となっても5年ごとに審査を受けることになるので、認定看護師になったから終わりというものではありません。